【Netflix】スリーデイズがもう一度観たくなる深読みレビュー

スリーデイズ

 Netflixでラッセル・クロウ主演の映画「スリーデイズ」を観ました。同じ夫、父親として、妻が無実の罪で投獄されたら同じことをするだろうか。色々なことを考えさせれました。子を守る父親として、あなたならどう向き合っていくだろうか。映画を観て、ちょっとだけ一緒に考えてみませんか。

印象に残ったシーンの深読みレビュー

3days
スリーデイズ (2010)
THE NEXT THREE DAYS
監督:ポール・ハギス
出演:ラッセル・クロウ
   エリザベス・バンクス

無罪を主張しながら殺人罪で投獄された妻を信じ、大学教授の男が彼女を救い出そうと綿密な脱獄計画を立てる。
引 用:Netflix

予告編

 とまぁ、予告編を見る限りでは斬新なアクション映画のようにみえますが、実際のところは父親として、夫として、法に守られるべき存在として、様々なことを考えさせられる映画でしたので、その思いを綴っていこうかなと思います。

 やはり主人公が学校の教師ということもあって、アクション映画というよりはその過程を重視した映画で、一介の父親がどのような経緯で妻を脱獄させるという結論に至ったのかが色濃く描かれていました。それでは映画の中で面白いなと感じたポイントをいくつかご紹介しましょう。
 

女性上司か男性上司か

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 ジョンと弟の、嫁さん同士が言い争いに発展するシーン。この時の話の中心になっている話題は、”女性上司は部下が自分より綺麗だったりすると、イジメたくなってしまうという性質がある。だから女性は女性のもとで働けない。女性は男性のもとで働くべきだ”とい内容でしたが、この”対比”はこの後のシーンでも違う形で描かれています。
 奥さんを逮捕する刑事(白人)とその相棒の有色人種女性のコンビと、脱獄後に2人を追う有色人種(男性)と白人男性のコンビ。
 途中お互いパートナーを入れ替えて捜査するシーンがちょっとだけありますが、その際の2人の相性やりとりが私は面白いなと思いました。人によって様々な受け取り方があるので、ここでは言いませんが、ぜひ注目してみてください。
 

家族の絆が試される

 奥さんが投獄され、息子と面会に行く主人公。この面会シーンも今後増えていくことになります。主役である旦那さんは、毎晩息子に刑務所にいる母親の手紙を読んで聞かせ、また勾留中の母親には息子や自分の仕事の様子などを聞かせて、家族を繋ぎとめようと努力し、その甲斐もあって逃亡に成功します。
 ここで考えたのが”家族”についてです。もし、自分の家族や妻が投獄されたら。恐らく大半の人は、刑務所から足が遠のき、面会すら行かなくなってしまうでしょう。そうなれば、受刑中である本人と家族の間には別の時間が流れていってしまいます。つまり、「気がつけば子供が大きくなってしまっていた」状態になってしまうということです。これではいくら血が繋がっていても、家族の絆は薄れていってしまいますよね。
 しかし家族である以上、結婚した以上は何があってもそばにいて、支えていかなければなりませんが、このような異常な状況でもそれを貫けるかということです。

消えたボタンと不利な状況

 殺されたのは奥さんの女性上司。職場でかなり激しく怒鳴りあう様子をみられており、凶器に使われた消化器からは奥さんの指紋が検出。そして犯行直後に駐車場から走り去る奥さんの姿も目撃されているというおまけつき。さらに、奥さんの言う”現場から走り去った女性”の目撃情報はなく、その場にそのような女性がいた証拠もなし。映画を観ている私たちは、奥さんの人となりをみているので、真犯人は別にいると信じますが、この事件しか知らない人はまず間違いなく奥さんが犯人だと確信するでしょう。それだけ不利な状況に陥っていきます。
 奥さんが同じことを聞くシーンがありますが、主役である旦那さんは奥さんに「本当に殺したのか?」と問う場面がありません。むしろこれは、例え事実であっても構わないとう旦那さんの深い愛ゆえかも知れませんね。

息子の成長と様子

 前半の息子に着目してください。終始無表情で、感情を表にだしませんよね。母親に甘えたい年頃なのにその感情を押し殺し、母親に怒りさえ覚え、奔走する父親を尊敬しつつもその姿を哀れんださえいるように、私にはみえました。子供は大人が思っている状に繊細で、大人の挙動全てをみていますからね。この子の姿は、あまりにも不憫で同じ子を持つ親なら心が傷むのではないでしょうか。
 
 しかし、母親の脱獄後に2人で添い寝する際に母親の額にキスをしますよね。額へのキスは子が親にする愛情表現の一つで、成長を喜んだり、偉いねと褒めてあげたり、よく頑張ったと労う意味が込められます。ちなみに、子が親にするキスは甘えたいサインで、ほっぺか唇が一般的ですから、息子は母親に腹を立てておらず、むしろ今までよく頑張ったと言う意味があったように、私にはみえました。

新たな決意と経験者の意見

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 妻の自殺未遂をきっかけに脱獄プランを練り始める主人公。まずは7回の脱獄に成功した経験者に話を聞きにいきます。それにしてもアメリカは、このような犯罪に触れるような内容でも、需要がある限り出版できる社会であることに、改めて驚かされますよね。日本では考えられないことです。
 ちなみに、会話の冒頭で「パピヨンの方がいいんじゃないか?」と言われますが、このパピヨンとは何のことかわかりますか?スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンの2大スターが共演した、1973年の脱獄映画のことです。2人の男の友情が涙をさそう傑作で、この映画も今度リメイクされる予定があるようですので、ぜひチェックしてみてください。

 さて、脱獄の先輩に教えを求めた結果、驚くほど詳しく話をしてくれます。そして脱獄よりも、逃げ続けないといけないその後が一番厳しいんだと聞かされます。確かにそうですよね。

ネットの知識と厳しい現実

 着々と脱獄計画を練って行く過程で、バンプキーを作ることにいたります。ネットで公開されている万能合鍵のことで、実験には成功するも刑務所内では鍵が折れてしまい、失敗。厳しい現実が文字通り、主人公の淡い期待をへし折ります。
 確かにネットでは驚くような情報がすぐに手に入ります。なかには車の鍵の開け方や、毒薬の作り方など様々です。このシーンでは、このような「情報の信憑性」について描いているようにみえました。つまり、犯罪に直結する知識が簡単に手に入るネット社会への警告もあると思いますが、手に入る情報をどうやってふるいにかけるか、またそのような方法をしっかり身につけているのかということです。ネットでどんな知識でも容易に手に入ると思ったら大間違いだということですね。

息子の友達の母親との出会い

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 出会いと言ってもロマンスの話ではありません。この人物は、同じ子育て世代の親であり、母親が受刑中であると初めて打ち明ける”部外者”になります。外界との唯一の接点として重要な人物ですが、このまま普通の暮らしに戻ることもできたかも知れないシーンとして、印象深いものがありました。母親が受刑中という特殊な環境にありながら、息子とはフルタイムで過ごしている姿に驚くという会話シーンがありますね。何ともこの母親との環境の違いが皮肉にうつるところです。

脱獄と究極の決断

 何とか脱獄させ逃亡する主人公。息子を迎えに行くと、息子たちは動物園に行ったと知らされる。ここで、最大の誤算が生じます。迎えに行けば、計画していた時間を過ぎてしまい、警察が街を完全封鎖して逃げられなくなります。ここで、主人公はひとまず子供を置いて逃げることを決断しますが、母親がそれを止めるようなかちになります。
 では、母親がとった行動の意味を考えました。
 旦那さんが子供を犠牲にしようとしたから、旦那さんに嫌気がさした?いいえ。
 子供に2度と会えなくなると思って絶望した?それだけではないでしょう。
 
 走行中の車の扉を開ける前に、奥さんは旦那さんの横顔を哀れみの表情で見つめますよね。私はあのシーン、子供に2度と会えなくなるかも知れないと悟ったということもありますが、何より子煩悩な旦那さんにそのような決断をさせてしまったことに、いたたまれなくなったように見えました。今の状況がすべて自分のせいだと。
 それにしても、あの何秒かのシーン。セリフが全くなく、役者2人だけの表情で進められるのですが、深い演技とそれを引き出した監督の職人技が凄いと私は思いました。まさに感嘆という言葉がぴったりくる瞬間でした。
 

最後のブラフ

 追跡を諦めた警察側は、この家族の逃亡先を突き止めようとして、タヒチに狙いを定めます。わざとらしく、ゴミ箱に捨てられていた脱獄計画の資料をつなぎ合わせて目星をつけますが、大外れ。一家は見事にベネズエラへの逃亡に成功します。
 果たしてこれは、最後の最後に警察をはめようと周到に計画した罠だったのか。それとも、偶然か。これは見る人によって見解が変わるかと思いますが、主人公の父親が早い段階でこのことを察していたことを考えると、これは罠だったのかも知れませんね。
 

事件の真相は闇の中に

 正確には排水溝の中にってことになるでしょうか。3年経っても奇跡的に残っていた、唯一無罪を立証できたかも知れない証拠は、無常にも雨に流されていってしまいます。この何とも言えない無常観が私は大好きです。
 さぁ、ラストのこのシーン。皆さんはどう受け止めましたか?
なぜもっと早くそう考えなかったのかと刑事さんを責めますか?それはないですよね。家族総出で脱獄するという前代未聞の事件が、刑事さんに事件を見直させキッカケを与えたとも考えることはできます。主人公の妻と家族への深い愛が、大きな新しい流れを作ったのではないかと私は考えています。それもまぁ、無常に流されますけどね…。

監督ポール・ハギスについて

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 社会派として知られるポール・ハギス。この映画はもともと、フランス映画「すべて彼女のために」のリメイクですが、監督はオリジナルとは全く違うところに焦点をあてたように思えます。
 映画の中で主人公がドン・キ・ホーテ物語の新しい解釈をとくシーンがあり、その中でも触れてますが、宗教的なモラルや社会的な正義では計れないことに遭遇したら、人は何をもって正しい道を選ぶのか。そんなとろこにスポットをあてていたようにみえました。どちらにせよ、ポール・ハギスらしい多くの疑問を観ている人に投げかける作だったと思います。

出演者について

 ここからは映画を盛り上げた俳優さんたちを私が独断と偏見でピックアップし、ご紹介します。

ラッセル・クロウ / ジョン・ブレナン役

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 言わずと知れたオーストラリア出身の名優。1990年に『ザ・クロッシング』で初主演を果たし、『グラディエーター』でアカデミー主演男優賞を受賞しました。個人的には『LAコンフィデンシャル』での役どころが一番印象深いです。

エリザベス・バンクス / ララ・ブレナン役

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 スティーヴン・スピルバーグ監督の『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』やドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でのゲスト出演などちょこちょこ色んな映画やドラマに出ている印象がありますが、『ハンガーゲーム』の役どころは凄かったです。

レニー・ジェームズ / ナブルシ警部補役

貴重な役者であるレニー・ジェームズ
 正直、ドラマ『ウォーキング・デッド』での役の印象が強すぎて、他の出演作を私は知りません。物静かな口調で淡々と追いかける姿は、冷淡な印象さえ持つほどでした。
 

リーアム・ニーソン / デイモン・ペニントン役

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 語りつくせないほど、味のある演技をするイギリスの俳優さん。奥さんは『ネル』で共演した女優さん(ナターシャ・リチャードソン)でしたが、何年か前にスキー事故で亡くなりました。とても残念です。その後、『96時間』で戦う父親を演じることが増えたような気がしますが、声もよく、『ナルニア』シリーズではアスランの声を担当していました。

ジェイソン・ベギー / クイン刑事役

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 Xファイルにも出演していた実力派俳優。ハスキーボイスが印象的で『GIジェーン』にも出演していました。味のある演技が定評の役者さんです。

家族の絆と正義について考えさせられる作品

 ポール・ハギス監督の「スリーデイズ」。観た後に考えさせられることが作品ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
 

 

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